病院でのフォロー

現在海斗はO総合病院の児童青年精神科のDr.Tにお世話になってます。
年に数回の診察ではありますが その内容(会話)を書き留めておこうと思います。
(私自身が忘れてしまわないように…ね)


O総合病院とDr.T
    このO病院は小児科だけでも 「小児内科」「小児外科」「小児眼科」…など
    小児◯◯科…だけで14の科がある総合病院で 海斗はその中の児童青年精神科を受診しています。
    Dr.Tは パパさんの姉(内科医)の紹介で3歳のときに受診させてもらい
    それ以来 年に数回診てもらっています。
    海斗には「おヒゲの先生」で通じ、眼鏡をかけた物腰の柔らかいDrです。
    Dr.Tは3歳(年少)の海斗を診て「もろに自閉症ではないけど自閉の傾向はある知的障害」と診断しました。
    当時のIQは60ほどで軽度の知的障害であり
    「大人になっても小学4年生程度の知能でしょう」と言われました。
    翌年(海斗年中)の診察の時に他院で受けた発達テストの結果がIQ88で
    療育手帳を返したことを伝えると
    「極稀にもう発達の遅れがないというぐらいに発達する子がいます。
    海斗君にもその可能性があるかもしれません。
    就学の選択から養護学校は外してもいいでしょう」と言われました。
    当時 私は海斗の就学は大阪での養護学校を考えていたのですが
    この言葉で就学の選択肢を大きく変えることになりました。
    年長になった海斗の就学時検診の前にもDr.Tは
    「ここまで発達したら もう学校に障害に関して言う必要はないでしょう。普通学級でいいでしょう」
    またDr.Tは海斗の成長を診て「僕たちの古い考えなどは そろそろ見直さなければいけない時期なのかもしれない」
    とも言っていました。
    私自身もこの言葉に背中を押してもらい 小学校には診断名など一切説明をしていない。


2006.8.7

Dr.Tはいつも決まってこう言う。
「お母さん、なにか困ってることはありますか?」
私はその時々での困ったことや考えを言うが この時は
「算数の問題で図形や展開図がでてくると 全然わかってくれないんです」と答えた。
4年生の海斗が当時塾の算数の授業で展開図を習っていたのだけど
何度教えても理解出来辛く 実際に紙を切り立方体を開いて教えたりもしたが
どうにもならなかったのだ。
「ああ、それはね、『空間認知』の弱さでしょう。」と言うが
それをどうしたらいいとかの助言はない。
だから自閉ちゃんなんだな…。



2007.3.26

Dr.Tがいつも通りの台詞で「お母さん、何か困ってることある?」と聞く。
今の海斗の最大の不安は新学年のクラス、先生、お友達であることを言いう。
学校生活や成績などを聞かれ 2学期以降に仲の良いお友達が出来たことや成績はほぼ真ん中であることを言うと
「ほほ〜っ」とDr.T(おそらく仲の良いお友達ができた事への「ほほ〜っ」だと思う。大阪に住みだして初めての仲の良いお友達の存在を聞いたからだと思う)
「感情の起伏はどう?」とも聞かれた。
「私にはそうですね〜、まぁ、私はが〜っ!と怒鳴ってしまうからでしょうが私には向かってきますね。」
「お父さんには?」
「う〜ん、私に10だとすると主人には0.5ですね。」
「ほぅ、外の人には?」
「ああ、まったくないですね、0ですわ。」
「ふんふん、10対0.5対0か。うん、これは『適応の良さ』の現れだね」
これには驚いた。だって私に向かってくるぐらい感情を爆発させる海斗が「適応の良さ」なんて。
「学校で問題ある?」
「いや、全くないです。お友達に対しては言いたい事があっても我慢したりして随分押さえてるみたいですが…」
「お母さんには何かあったら言う?」
「ええ、いじめられたりしたら言ってくれますね」
「うん、「適応の良さ」だよ。これは。外の人に対して感情を出さないで まぁ、お母さんだから出せる。「適応の良さ」だね〜」
へぇ〜、こんな風に考える事もできるんだ、「適応の良さ」か…。
母にすると なんでこうも言う事を聞かないし それでいてお友達には言いたい事の半分も言わない海斗が歯がゆいし情けないしで…それがDrに言わせるとこうなるか。
「あと何かある?」
「いつもなんですけど どこかに行くと必ず「いつ帰る?」って聞くんですよ。
どんな所に連れて行っても着いた途端に「いつ帰る?何時に帰る?」と言うんで困るんですよ。
例えば招待されたりしたときに「いつ帰る」って言われるとね〜…」
「海斗君、帰る時間気になる?楽しい所でも気になる?」
「うん、気になる」とにゃりと笑いながら答える海斗。
「最近 これって見通しが悪いから聞くのかな…って思うんですけど。
何時に帰るって分かれば安心するんでしょうか?」
「ああ、そうかもしれないね」
「あと、この落ち着きのなさ…ですね、困ってることは」
「(笑いながら)これはまぁ、年齢とともに…でしょうなぁ〜」
この診察の間 海斗はず〜と確かにイスには座っていたが 手を挙げたりイスをガタガタさせたり
体はずっと動いていた(診察中は毎度のことだが…)
「今度は夏においでよね」 と半年ぶりのDr.Tの診察は終わったが 海斗は最近どうして自分が病気でもないのに
こうして病院に連れて来られるのかが気に入らないらしく「いつまで病院にいくの?なんで僕いくの?」と聞く。
これもそろそろ困ったこととしてDrに言わなければならないかな…




2007.07.30

Dr.Tが言う。「お母さん、学校で懇談あった?」
「ええ、ありました。すぐに「空間認識が弱い」って言われてしまって…」
うんうんと頷くDr.T。「成績はどう?」
「国語(学校の)がすごくいい成績で 親の私でも驚く程で。
しかも 筋道たてて考える事ができてるって先生は言うんですよ。
私 ホント驚きましたわ。
相変わらず語彙は少ないし、説明下手で話のスタートとゴールしか言わないので
その経過が分からなくて こちらが導いてやらないと扉が開かないんですよ。」
「お母さん、僕が知ってる子供は この年齢だとみんなそうだよ。
級長になるほどの子みたいな一握りの子達はしっかりしてるけど 
そうじゃない子はみんなこんな感じで、う〜ん、中学ぐらいまでみんなそうだよ。
お母さん、うるさく言わないでもいいですよ。」
いや〜っ、私うるさいみたいです…。
年に数回しか会わないDr.Tにまで 子供にうるさい親だと知れてしまったらしです(笑)
「海斗君、お母さん、うるさい?すごくうるさい?」
「う〜ん、すごくではない」(返事に困った感じだぞっ!)
「海斗君、夏休みの塾、週に何回行ってる?」
「う〜ん、5回」
「勉強きらいじゃーない?」
「うん、大丈夫」(大丈夫じゃーないだろ!)
「反抗とかしてないですか?」←これは私に向けて
「あ、大丈夫ですね。学校も塾も問題ないですし 反抗もしてないですね。
でも 学校の先生には たまに横着な言動があるらしいですけどね(笑)
以前 T先生が言われた通り 適応の良さが表れていると思いますね」
「うんうん、適応できてるね。でもね、外で適応するために ストレスが溜まらなければいいけどね。
がんばりすぎて この子がストレスためないように 気をつけてやってね。
順調に成長してるよ。お母さん、また半年後に来てよ。」
今回はこんな感じで診察が終わりました。
海斗にすればおとなしくしていた診察でしたが
診察室に置いてある普通のイスでなく 丸いクルクル回るイスに座りたがるのは
いつも通り…でした。




2008.03.19

恒例の年度末のDr.Tの診察

診察室に入った海斗をニコニコしながら見つめてDr.Tは言った。
「大きくなったね。うーん、なんだろう、少年になったような感じだね。
前回までは そうだな、まだ幼児期の延長って感もあった気がするが
少年になったみたいで、ついこの前までこんなに小さかったのにな(笑)」
「そうですね、ここ数ヶ月で体つきも顔つきも変わってきましたね。
すごく食べるんで横に成長中ですわ(笑)」

うんうん、とDr.Tはカルテになにやら書いている。
「何か変わったこととかない?」
「あ、二学期にお友達と殴り合いのケンカをしたんですが 私 ケンカができるようになったんだな…と思って。
いつもお友達に気を使って遠慮して自分を出さない子がケンカができるようになったんだな…と。
ここまで来たんだな…と思って これも成長かなと思ってます。
担任の先生も「自分を出さない海斗がお友達に自分を出してケンカをすることができた」と暖かく見守ってくれたようです。」
「海斗君、もしまたお友達とそうなったら また殴り合いのケンカする?」
ちょっと首を傾げながら
「うん」と言う海斗。
「お母さん、いいじゃんケンカすることは。大人になっても殴り合いをする人は
子供の頃にちゃんとケンカできてない子だったんだよ。
子供の時にケンカしてれば 大人になっても殴り合いのケンカなんてしないよ」

カルテを見ながら

「来年の3月ぐらいにまたテストしようか」
「はい、受験なんで それが終わってからだったらいつでも」
「そうだね、受験だったね。海斗君 勉強好き?」
「へへへっ」と笑って「きらい」と答える海斗。
「ここで受験すれば あと6年はゆっくり行けますから…」
「そうだね。海斗君もそれで納得して受験するんだね?」
こっくりうなずく海斗←すこし疑問か…
「お母さん、今度は夏においでね」

今回はこんな感じで終了。
今までのDr.Tの診察で一番短い診察時間だったわ。
海斗は待ち時間の間に寝てしまって 寝起きで診察だったので
いつもよりもおとなしくしてたけど
口が「ぽか〜〜〜〜ん」と開けっ放しで…
頼む、どうみてもアホにしか見えへんで、口閉じとき!


2008.08.13

本日のDr.Tとの会話です。
Dr.Tは黒 まりあは赤 海斗は青
「お母さん、いつも海斗君はニコニコしてるね。性格が温厚そうだね」
「ええそうですね。どちらかと言うとお調子者で もう少し落ち着きが出て欲しいのですが」
「学校ではどう?」
「片付けが出来てないと指摘を受けまして…これは家でもそうで片付けなくて困ってます」
「強く言ってもダメ?」
「ええ、いつも『あとで…』と言うばかりで全然聞かなくて…」
「あとは何かある?」
「あとはお友達関係ですかね。今のクラスになって仲良しが出来なくて…」
「ぼく お友達おるで」
「海斗君、お友達いるの。仲いい?何人ぐらいいる?」
「うーんとね、4人ぐらいかな」
「多分 先生や親が思う仲良しのお友達と言うのと本人の思うそれに少し違いがあると思うのですが…」
「海斗君、もっとお友達欲しい?沢山欲しい?」
「うん欲しい」
「うんそうだね、沢山ほしいね。うーん、対人関係は大人になるにつれて親は手が出せなくなるしね、難しくなるね」
「そうですね。幼児ならどうにかなるんでしょうが。もう小学生の高学年ですし これから中学や高校にもなると親は手出し出来なくなりますし そうなると本人がどこまでがんばれるかですよね」
「うんそうだね。親は土俵を作ったり方向の指示はしてあげても最後は本人ががんばらないといけないよね。海斗君がんばってね。」

Dr.Tも対人関係の問題を一番気にしている様子でした。
これからの海斗にとってそれが間違いなく一番の問題になってくるでしょう。
どこまでその面での成長ができるか…本人がどこまで頑張れるか…
まずは思春期に入ってからが要注意だと言うことでした。
本当に心配ですわ。


2009.03.23

3月9日に行われたWISC-|||の結果を聞きに いつもの児童青年精神科のDr.Tを受診しました。

Dr.T  「海斗君、受験だったよね。どうだった?合格した?」
海斗  「はい。合格しました」
Dr.T  「それはおめでとう、なんていう学校?」
海斗  「A中学です」
Dr.T  「A中学…。◯◯市にある学校だね」
母   「はい。海斗の合格したコースは△△大学に入れるコースです。」
Dr.T  「そうですか。海斗君は最近の様子はどうですか?」
母   「学校では受験の前と後で顔つきも変わったようで明るくなったと学校の先生は言われました」
Dr.T  「そうですか。今回のテスト結果ですが
     うーん、前回(3年前)と比べて そんなに変わってないですね。
     計算力が非常に高い、抽象思考はやや苦手、空間認知もやや苦手…。」
母   「先生、苦手なものは数字的には前回より上がってないんでしようか?」
Dr.T  「うん、上がってないね。発達はアンバランスだね、前回と変わらないなー。
     でも聞いて理解する力と見て理解する力の差は少し縮まってきてるよ。
     IQは前回より少し下がってるけど これは誤差の範囲だから気にすることはないね」

いつもなら母とDr.Tが話していると落ち着かなくなる海斗ですが今日は非常に良い態度でした。
ようやく落ち着きが出てきたか?
次回の受診は8月の予定です。


2009.08.06

久しぶりのおひげの先生の診察
「海斗君 中学生になったんだよね。A中か どう学校は楽しい?」
「うん 楽しい」
「勉強はどう?」
「楽しくない」
「そうか 楽しくないか。何が得意で何が苦手?」
「得意なのはないけど 代数と図形と英語がきらい」
「図形か…うーん図形がらみだと(前回のWISC-|||の結果を見ながら)平均が10のところ
 7か8の数字だね。ちょっと難しいかもしれんな。仕方ないよねこれは」
と学校でのことなど聴いてもらい
海斗を退室させた後で私は診察室に残りドクターと2人でお話。
(今日は研修医か臨床実習中の学生さんらしい若い女性も診察室の隅にいたけどね)
1学期の三者懇談の時にも実は気になっていたのだけど 海斗がこのところ相手の顔や目を見て
話をしょうとしない。
私やパパさん、おばあちゃんには平気で目を見て話すことが出来るのだけど
頻繁には会わない親戚だったり 学校の担任だったり
今日のおヒゲの先生だったりすると
話はするし会話も成り立つのだけど
話をしながらも目は相手の顔の少し横をみてる。
そこをドクターに聴いてみた。
「うん、多分 思春期に入って来て人と話をすることなどに緊張するようになったんだろうな。
 元々ジヘイの傾向がある子は相手の顔をみないことがその特徴だけどね」
「先生 海斗は小さい頃は相手の目を見てましたし 目を見て笑うこともできました。
 目を見てないなって私が感じだしたのは最近なんですけど」
「やっぱり関係の深い人や電車の中などでの全く知らない人には緊張感は持たないんだよ。
 少しだけ関係があるっていう人には緊張感がでるんだな。
 これがひどくなると対人恐怖症になるんだけど 通常は20歳前後には治るといわれてる。
 今からは特に異性に対して緊張したりもするようになるだろうな。
 しばらく様子をみてもいいと思うけどね」
最近の海斗のことで気になることは この「相手の顔や目を見ない」ということ。
自閉ちゃんの特性だといえばそうだけど
横からそれを見てると 自信なさげにみえるその態度
分かっているけどね
時間が解決してくれることを祈りたいです。


2010.04.01

久しぶりのDr.Tの診察です。
診察室に入った海斗の姿を見て
Dr.T  「海斗君 何年生になる?」
海斗  「中2です」←これ堂々とはっきりと言えた!(こんなのでも母は嬉しい)
Dr.T  「ほほう、もう中2か。どう学校は?楽しい?」
海斗  「楽しいです」
Dr.T  「何が楽しい?」
海斗  「うーーーーーん…(キョロキョロしながら)いろいろと…」
Dr.T  「ははっ、いろいろか!そうかいろいろ楽しいか(笑)
     海斗君、イヤなら答えなくてもいいから 答えれる質問だけ答えてね
     学校で好きな女の子いる?」
海斗  「いません」←これきっぱりと。
Dr.T  「女の子には興味ないか〜。何か興味あるものない?」
海斗  「うーーーーーん、今はないです」
Dr.T  「勉強は楽しい?部活は何だったっけ?」
海斗  「勉強はきらいです。部活は卓球です」
Dr.T  「お母さん 学校の懇談で何か言われましたか?」
母   「3学期の懇談は指名された子だけでして。うちは三者面談も二者面談も免れまして。
     私は成績不良で絶対に呼び出しだと覚悟してたんですが 成績もギリギリですが進級できるようですし
     成績以外でも呼び出しがないのは この子なりに学校という社会の中でどうにかなってるのかな?と
     思っています。確かにからかわれたり またその逆に海斗がなったりもしてるんですが
     この年齢ではまだあることだと思いますし 少しずつでも社会性が身に付きつつあると思っています」
Dr.T  「うん、いいね。順調だよ。伸び伸び育ってるよ」

海斗がDr.Tと話している様子を観ていて 以前に比べてオトナの人と話す口調がハッキリとしてきたなと感じました。
グジグジと何を話しているか分からない 自信なさげな口調とは変化がありました。
Dr.Tも中学に入って少し成長した海斗の姿を感じたと思います。
いつもなら次回は夏休みの診察となるのですが
「お母さん、どうだろう、少し間を空けてみませんか?何かあれば来てくれればいいから。
お母さんが不安なら夏休みに予約いれてもいいけど 順調だしね。
海斗君どう?少し間を空けて 困った時に来るっていうのは?『うん』←海斗笑う
何かあればいつでも予約いれて。どうしてもすぐに見て欲しいときは 僕に予約の電話を直につなげてもらってよ」
そんな訳で次回は夏休みとはならず
一応 中3の夏休みぐらいに診察しましょうと言うことになりました。
最近は大きな問題もなく 海斗なりに学校でもやってくれてる。
そりゃ〜小さい問題はあるよ、比喩や例えが会話に出て来るとそれをそうと思わずに
真っ直ぐにそれを受け止めてしまうことや
ダラダラして電車に乗り遅れて遅刻があること(爆)…や。
でも 全部それらをひっくるめて これが海斗やんね。

診察前にイスに座って待っていたときに
「もう10年もここに通って来てるよね」と海斗に言うと
「10年?オレが3歳のときから?山奥の県にいるときやん」
「そう あんた連れて何往復も大阪と山奥の県をしたわ。よくやったよ」
そんな会話がありました。
10年 ホンマにDr.Tにはお世話になりました。
ジヘイちゃんの海斗ですが 彼なりに成長してくれてます。
約束の中3 の夏まで問題なく行って欲しいとおもってます。



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